ブラジル スル・デ・ミナス パルプドナチュラル
味の特徴
- 質感
-
かるめおもめ
- フルーティさ
-
よわめつよめ
アーモンドや
ヘーゼルナッツを
思わせるフレーバーと
温州みかんのような
優しい甘さ。
青りんごや
チェリーのような酸味。
雑味の少ない
クリーンな味わいです。
生産国:ブラジル
生産地域:スル・デ・ミナス
プロセス:パルプドナチュラル
コーヒー生産者に『声』を与える
最高のチームと言えるコーヒークエストブラジルの三人は、どんなビジョンを共有しているのだろうか。
「私たちはコーヒー生産者に『声』を与えたいと思っています。多くの小規模生産者は、自力で海外のマーケットにリーチすることはできません。素晴らしいコーヒーを作ったとしても出口がないので、ローカルのマーケットにコマーシャルコーヒーとして売ってしまうのです。コーヒーの美味しさは、飲めばすぐにわかります。でも生産者の物語は、誰かが語らなければ伝わらない。私たちは一杯のコーヒーにまつわる生産者の物語を拾い集めて、それを海外に発信したいと考えています」(ガブリエル)
コーヒー生産地の中心で生きてきたガブリエルの心身には、生産者の物語が染み込んでいる。それを伝えられるのは、彼しかいない。
「私たちと生産者の関係性は、コーヒーに関することだけに留まりません。私たちは、彼らとパートナーシップを築きたいと思っています。フリソが私たちと築いてくれたような関係、つまりは友人関係の先にビジネスがあるのです。スペシャルティコーヒーと言いますが、スペシャルなのはコーヒーだけではありません。コーヒーの向こう側にいる人たちもまたスペシャルな存在なのです」(テレサ)
「ラベルに生産者の名前を記すだけでは何の価値もありません。大切なのは文脈です。その人に光を当て、その人の物語を語ることで、名前に意味を持たせなければならないのです」(フリソ)
物語をコーヒーに乗せて伝えることで「関係性」が生まれる。それこそがスペシャルティコーヒーの真髄だということを、三人は心の底から共有しているようだ。
ブラジルの未来
コーヒーの生産量において長年世界一を独走してきたブラジルだが、その大半を占めるのは、生産量を増やすために合理化、効率化を追求した大規模農園が生産するコモディティコーヒーだった。しかし、その様相も変化しつつある。
「ブラジルで高品質なスペシャルティコーヒーを見つけるのは、十年前は本当に難しいことでした。でも、時代は変わりつつあります。今のブラジルには、コモディティコーヒーからスペシャルティコーヒーに乗り換える若手生産者がたくさんいる。彼らはコーヒーの質を高めるために手間をかけることの重要性を理解しています。
スペシャルティコーヒーの需要は世界的に伸び続けていて、供給が追いつかなくなることが懸念されています。ブラジルはここで大きな役割を果たすでしょう。例えば、中米の山岳地帯の農園ではコーヒーは手摘みになるので、生産量を増やすには人件費などのコストがかかり、大量生産には向いていません。一方、ブラジルは農地が平坦なこともあり機械化が容易です。さらに、ブラジルの生産者は成長意欲が高く、効率化や情報収集が得意で、そのイノベーティブなマインドセットをスペシャルティコーヒーの生産に応用し始めています。ブラジルで高品質なコーヒーを大量生産することも夢ではありません」(フリソ)
美味しいコーヒーのサステナビリティを高めるという目的に対して、テクノロジーを活用して大量生産を目指すというのも、プラクティカルな問題解決になり得るだろう。
「透明性・協力・クオリティ」
そんな時代の転換期に居合わせたコーヒークエストブラジルの三人は、これからどんなゴールを目指すのか。
「私たちのゴールは、ロースターと生産者の新しい関わり方をデザインすること。ロースターには毎年同じ生産者から同じプロファイルのコーヒーが手に入ることを約束し、生産者には毎年必ず適正価格で売ることができる状況を保証する。そんな仕組みをつくることで、長期的な関係性を築きたいのです。そのためには、完全な透明性を確保し、クオリティを最重要視する姿勢が欠かせません」(ガブリエル)
コーヒークエストのWebサイトには「透明性・協力・クオリティ」という言葉が掲げられている。たとえスペシャルティコーヒーの領域において大量生産が求められるようになっても、この三つを大切にする彼らの姿勢は変わらないだろう。この価値観は、きっとブラジルというコーヒー生産国の宝になるはずだ。ブラジル新世代のトップランナーとして走り続けてほしい
(出典:TYPICA)