パプアニューギニア ゴロカ エライヤ - みちくさコーヒーロースター
パプアニューギニア ゴロカ エライヤ - みちくさコーヒーロースター

パプアニューギニア ゴロカ エライヤ

通常価格 ¥1,800
単価  あたり 
税込 配送料は購入手続き時に計算されます。

味の特徴

質感
かるめ
おもめ
フルーティさ
よわめ
つよめ

しっかり深煎り。
アーモンドチョコのような甘さとフレーバー。
ビターな印象ながらも
クリーンな後味。
シトラスを思わせる爽やかさも感じさせてくれます。

コーヒーらしいビター感のある深煎り。
甘さをしっかりと感じさせてくれます。
これから始まるパプアニューギニアの
スペシャルティコーヒーのストーリーを是非楽しんでください。

 

生産者名:Alpha Coffee
生産地方:Eastern Highlands
生産地区:Goroka
標高:1600m - 2200m
品種:ブルボン,ティピカ
プロセス:ウォッシュド


パプアニューギニアのコーヒーをよりポピュラーにするために

 

現時点では、パプアニューギニアは高品質なコーヒーの生産地として名が通っているわけではない。大手生豆商社などと取引し、個々の農園名でアメリカやドイツにスペシャルティコーヒーを輸出している生産者は多少なりとも存在するが、エライヤは「独り勝ちすること」に興味がない。

「業界全体を底上げするために、パプアニューギニア産コーヒ−というブランドを育てていきたいのです。実際、私たちのコーヒーはそれだけのポテンシャルを秘めていると思います。パプアニューギニアの気候や土壌は独特です。アユラを筆頭に、オカパ、シアネ、オブラなどの地域で生産されるコーヒーは、豆のサイズが大きく個性的なフレーバーを持ち、アフリカや中南米のコーヒーにはない特徴や魅力がありますからね。

私たちが一体となって進めようとするのは戦略的な意味合いもあります。パプアニューギニアは太平洋上の島国なので、消費国にコーヒーを輸出する際の輸送コストがビジネスのハンデになる。小規模生産者が個人で小規模のロットを輸送するにしても、コストが嵩むぶん、マーケットからは敬遠されてしまうでしょう。だからこそ、私たちは団結し、皆で力を合わせてやっていく必要があるのです」


ニューギニア島と大小700の島々からなるパプアニューギニアでは、800以上の言語と部族が存在する。同国独自の伝統文化のひとつが、同じ部族の人々が属するコミュニティ「WANTOK(ワントク)」だ。

ワントクは人々が相互扶助によって支え合う仕組みである。ワントクである誰かが損失を被ったり助けを必要としているとき、他のワントクは団結して手を差し伸べる。現金や婚資(結婚の際、夫側の親族から妻側の親族に贈られる資財)、補償金など、支援の形はさまざまだ。身体障害者や精神障害者も、コミュニティ全体で一生面倒を見るのが通例である。

国の社会保障制度が整っていないため、助け合い、自分たちでセーフティネットをつくるしか生きていく方法はないのである。一方で、はるか昔から部族単位で自給自足的な暮らし、自治的なコミュニティ運営をしてきたため、政府主導の制度や取り組みを必要としていないとも言える。

「私には、すぐに電話をかけて助けを求められる人が10人ほどいます。もし娘が隣の部族の人と結婚をした場合、相手の男性の部族も私たちの“家族”になります。パプアニューギニアで生きていくなら、この“家族”のつながりを最大限活用しない手はないのです」

パプアニューギニアのAlpha Coffeeでスペシャルティコーヒーのコーヒーチェリーを収穫

ワントクの中で生きるエライヤ自身も、建築家として得た自分自身の収入で“家族”を養うことは可能だった。だが、家族を助けるためには何が必要か。その問いの答えとして行き着いたのが、経済的な自立をサポートすることだったのだ。

「パプアニューギニアの経済は、コーヒーの他にはパーム油やカカオ、金や銅、天然ガスの輸出によって支えられています。でも悲しいことに、一般市民はその恩恵をあまり受けていません。彼らを救う方法は、彼らが経済的に自立できるように教育することしかないのです。

もっとも、彼らはすでに農園を所有していて、コーヒーの作り方も売り方も知っているのは大きな強みです。世の中にはもっと広い世界があり、正しい方法で物事に取り組めば、それ相応の見返りを得られるということを生産者たちに見せてあげたいのです」

パプアニューギニアのAlpha Coffeeでスペシャルティコーヒーを生産

ただ、文明の発展とともに人々の幸福度が高まるわけではない。20世紀に入っても人々が石器を使って暮らしており、「世界でいちばん石器時代に近い国」とも称されたパプアニューギニアでは、今でも人口の約9割が自給自足と金銭を得るための農業によって暮らしを成り立たせている。

「彼らは生活に必要なものを買うのにスーパーマーケットに行く必要がありません。必要なものは自分たちでつくることが当たり前だからです。彼らは農園に行くために10km歩きますが、それを大変だとか無駄な時間だと捉えたりはしません。長距離を歩くことは、彼らの生活習慣の一部とだからです。今、必要なものが満たされていればそれでいい、というのが彼らの考え方なのです」

パプアニューギニアでも、貨幣経済が社会に導入され、生きていくために金銭を得ることが必要になって久しい。だが、自給自足ですべてをまかなっていた時代の記憶は今なお人々の中に根強く残っている。エライヤの狙いは、人々の“常識”を打ち破り、新たな価値観や生き方を提案することにある。